特級クラファン2025:インタビュー・南 杏佳さん(2024グランプリ)

いつも温かいご支援をありがとうございます。
2025ピティナ特級クラウドファンディングでは、「特級の音色を全国へ届けたい」という想いのもと、より多くの地域へ特級ピアニストを派遣し、皆さまと直接触れ合う機会を設けることを目指します。
今回は、2024特級グランプリとしてこの一年間、特級クラウドファンディングのご支援のもと、全国各地の皆さまに音楽を届けて来られた、南杏佳さんにお話を伺いました。

昨年の夏に特級グランプリを受賞されてから、どのような一年でしたか?
ハードな一年だった、に尽きると思います(笑)。でもそれは、とてもありがたい、ハードな一年だったなと感じています。
ここまで演奏の機会があることは今までなかったので、準備期間と移動と本番との配分、そのバランスを取るのが最初はすごく難しかったのですが、その分精神的にも体力的にも進化できた一年だったと思います。
演奏面では、今まで一つの楽曲を仕上げるのに一年かけていたのが、1,2週間で読んで、暗譜して本番で弾くということができるようになりました。それも、各地で温かく迎えてくださった皆さまが、細かいミスタッチよりも、私の音楽の本質を見てくださろうとしていたのを感じることができたからです。
私は2か月に一度は風邪をひく人間だったのですが、本番続きのハードな生活を過ごしているうちに、ここ半年くらいはひいてなくて!(笑)体力的にも成長できたようです。

全国各地を回られてみていかがでしたか?
この一年で本当にたくさんの方と知り合うことができました。おそらく今まで生きてきた27年間で知り合った人と同じくらいの人数でしょうか(笑)各地の皆さまが温かく迎えてくださり、自分の演奏を聴いていただいたのが本当に励みになった一年でした。
特に各地の子どもたちと出会い、彼らの音楽に対する情熱を感じるにつけ、私もあの頃怖いもの知らずで、全てが新しくて、全てが魅力的に感じていたなということを思い出しました。
原点に戻るというか、昔の自分を見ているような感じでしたか?

そうですね。出会った子どもたちに「憧れてました!」と声をかけてもらって、最初のうちは「いやいや私なんて…」という気持ちが大きかったのですが、自分も小さい頃は、特級に出られている方、グランプリの方というのは、人生の憧れというか、すごいお兄さんお姉さんだ!と感じてたんだというのを思い出しまして、その時に私は何を感じていたんだろう、と考えたんです。
そうしたら、私はただ彼ら彼女らが、音楽にのめり込んで、真剣に音楽をしている姿を見て刺激を受けたのだということを思い出し、私もそういう姿を届けられる人間になりたいなと思いました。自分が憧れられる側の立場に立って初めて、目指すべき場所というのが分かったというか。「自分と向き合い続ける」、「音楽と自分と向き合い続ける」というのが、自分のしなければならない役割なのだと思いました。

大人が思う以上に子どもは、分かりやすい姿よりも、死に物狂いでやっている姿に一番惹かれるものですよね。特級クラウドファンディングでは、そういう姿を全国に直接届けたいと思っています。
全国どこに行っても、「二次聴きました」「ファイナル聴きました」「先日の演奏会も聴きました」と言ってまた聴きに来てくださる方が多くて、とても嬉しく、そして安心します。初めての地でもそうして自分のことを知ってくださっている人がいるのは、全然心持ちが違います。知り合いが全国に増えたということが、私にとってかけがえのない宝物です。
ライブ配信も含め、自分の演奏を一回でも聴いて知ってくださる機会を作ってくださることは、若い音楽家にとってすごく大切な門を開いてくださるきっかけになりますので、本当にありがたいことだと思います。
今年の全国の支部の入賞者記念コンサートへ行かれた中で、初めての地域はありましたか?
たくさんありました!高知、鳥取、岡山、長野、愛媛など、おかげさまで今まで行ったことがない土地へ行くことができました。
それぞれの地域の特色は感じられましたか?

れはもう!一番感じるのが、お客様の反応の違いです。土地柄があるのかなと思います。 すごくきちんと聴いてくださる方がいらっしゃる土地もあれば、私がトークをするたびに笑ってくださるところとか、、、(笑)弾いていてお客様の反応というのはじかに伝わって来るので、それぞれ土地柄を感じられて楽しかったです。
ピティナの派遣以外にも、実は海外でも各地で演奏されたのですよね
アメリカのボストンを拠点として、日本や他の国との行き来をしていました。
2024年度は数えてみるとなんと、4か国30都市で51公演で演奏していました。

日本 | 10府県・12都市 |
---|---|
アメリカ | 11州・16都市 |
カナダ | 1都市(クルーズツアー) |
ポーランド | 1都市 |
日本 | 25 |
---|---|
アメリカ | 23 |
カナダ | 2 |
ポーランド | 1 |
アメリカではクラシックのピアニストだけでなく、バンドのピアニストもさせていただいてまして、そのツアー公演も多くあります。ヴァイオリンとチェロとピアノのトリオバンドで、ポップスとロックとクラシックを融合させた、クロスオーバーな音楽をしています。例えば、「パイレーツオブカリビアン」の曲に、ベートーヴェンの「月光」がピアノで出てきたり、「アメージンググレイス」とバッハの「無伴奏チェロ組曲」を組み合わせたりと、いろいろな試みをさせていただいています。
バンドのツアーは結構ドライブが多くて、11時間ドライブとかよくあるんですよ。最大で1回2週間くらいのツアーなのですが、まずボストンから飛行機に乗って、ネブラスカに飛んで、そこからオハイオ州までドライブで4つの州をまたいでいく、というように、本当に移動が大変でした(笑)。
ボストンではどのような音楽生活を送られていますか?

ボストンでは生徒に教えたり、自分が先生にレッスンを受けたり、あとはほとんど練習という生活ですね。ボストン音楽院は5月に卒業して試験があり、また9月からもう一度学生として戻って勉強を続けます。
ボストン音楽院にはシアター部門、ダンス部門、音楽部門があるので、バレエとコラボするなど、他のジャンルのアートと一緒にプロジェクトに関わる機会がたくさんあります。なかなか日本では経験できないことですし、新しい発想をもった人と関わることでこそ生まれてくるものなので、その環境に身を置けたことに感謝しています。
南さん、どうもありがとうございました。
(2025年6月25日、ピティナ本部事務局にて)
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